子どもたちにとっては、この村が故郷になるから。



坂口浩二さん、彩美(さえみ)さん

突然の転勤に戸惑いながらも、「とことん楽しもう」と前向きな思いで中川村へ。特別なことをしなくても、日常の中で幸せを感じられる。そんな今の暮らしが心地いい。

 

 移住には人それぞれの形がある。2013年3月、神奈川県茅ヶ崎市から移住した坂口さん夫婦は、田舎暮らしの願望はなく、〝やむを得ず〟中川村にやって来た。
 「横浜ゴム」の社員である浩二さんは、平塚市にあった工場に勤務していた。ところが、その工場が中川村の南にある豊丘村に移転。多くの家族が東京や神奈川から一緒に転勤してきたが、そのほとんどが住む場所として、利便性の良い飯田市を選んでいた。そんな周りが気になりながらも、坂口さん夫婦は確固たる思いを持っていた。「茅ヶ崎は便利な街だったので、同じような環境を求めて飯田に住むことも考えました。でもせっかく田舎に行くんだからという、少しやけっぱちな部分もあって。どうせなら、とことん自然が感じられる田舎らしいところで楽しんでみようと思ったんです」と浩二さんは話す。

 そこで、選択肢から飯田市を外して不動産屋をまわったところ、今の家が見つかった。保育園、小学校、中学校、それにスーパーも国道も近い上、自然豊かで車の音も気にならない。何より勤務先まで車で約15分という近さも魅力だった。求めていた条件にぴったりの場所が、たまたま中川村にあったのだ。
 4人の子どもを持つ二人が、移住するにあたって一番に考えたのは、やはり子どものことだったという。
 「移住したのは長女が小学校に上がるタイミングでしたが、すぐに馴染んで友達を作ってきて。私たちにとってはまずそこが大きかった。子どもたちの暮らしが何より優先でしたから」と彩美さん。移住当初は、やりたいことがやれない歯がゆさを感じていたが、子どもたちがこの村に馴染むにつれ、大人たちも変わってきた。「なんとなく抜けられないような感じになりましたね。楽しんで保育園や小学校に通ってくれているので、今はそれで十分です」と浩二さんは笑顔を見せる。

 また近所の人が気さくに迎え入れてくれたことも、二人の心を解きほぐしていった。  「茅ヶ崎では近所付き合いがなかったので、こっちではどうなんだろうと不安でした。でも見事に近所の人たちがウエルカムな感じで、野菜をいただいたり、お祭りや新年会、忘年会にも誘っていただいて」と浩二さん。

 休日は子どもと庭で走り回ったり、近所の公園に行ったり。特別どこかに行ったり、何かをしなくても、満足感があるという。「窓から見える景色一つとってもそうだし、環境がまるで違う。何より空気が圧倒的にきれいですね」と彩美さん。そんな環境に育まれ、子どもたちは目に見えて身体が強くなり、ほとんど風邪をひかなくなったそうだ。

 そして今では、不便だと思っていた村が、〝ちょうどいい〟とさえ感じるようになった。 「都会のスーパーで100あった品ぞろえが、ここでは70かもしれない。でも30の商品は本当に必要なのかと考えたり。つい何かにつけて不便だと思ってしまうけど、『本当に不便なの?』と立ち止まって考えると、これで十分だなと思えてくるんです」と浩二さん。何にせよ、心の持ちよう一つ。あるものを楽しむ力で、暮らしはもっと豊かになる。

Keywords:

For their children, this village will be their hometown.

Koji & Saemi Sakaguchi

While feeling confused by sudden relocation, they came to Nakagawa-mura with a positive feeling that “Let’s enjoy as much as possible”.

Even without doing special things, they can feel happiness in everyday life. Such current living is comfortable for them.

   Each people has own form for moving into other place. In March 2013, Mr. & Mrs. Sakaguchi who came from Chigasaki city, Kanagawa prefecture, had no desire for rural life and came to Nakagawa-mura “unavoidably” with anxiety.

   Koji who is an employee of Yokohama Rubber worked at a factory located in Hiratsuka City. However, the factory moved to Toyooka-mura in the south of Nakagawa-mura. “I thought if I go to the countryside, I try to have fun in a rural place where I can feel nature as much as possible”, Koji says.

   “Although we moved into here when our eldest daughter came up to school, she got familiar with her friends soon and it was great for us first of all, because the living of our children was our first priority”, Saemi says.  What the neighbors welcomed them also released their hearts.

   On holidays, we run around in the garden with our children or go to a neighborhood park. We are satisfied without going somewhere special or doing something. “Even the scenery seen from the window is different and the environment is quite different. The air is overwhelmingly beautiful than anything”, Saemi says. Nurtured in such an environment, their children seemed to become visibly stronger physically, almost shake off their vulnerability to colds.

   And now the village that they thought as inconvenient began to be felt, “It’s just right”. “For example, an assortment that was 100 in a supermarket in the city might be 70 here, but we thought whether the assortment of 30 is really necessary.  We always think that it is inconvenient in various ways, but if we think that ‘Is it really inconvenient?’, I think this is enough”, Koji said.   With the power to enjoy what is there, life becomes more enriching.

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中川村