星野村の棚田



星野村(福岡県八女市)の棚田の歴史は奈良時代にはじまり、ゴールドラッシュに湧いた江戸時代の人口増加とともに開墾が進んだと言われている。星野の棚田の美しさを際立たせている石積みの精巧さは、石垣を組む職人さん「がきつきさん」の教えのもと、農家の人々が自ら石を組み、その技術を継承して生み出されたものだ。「日本の棚田百選」にも指定された星野村を代表する広内・上原の棚田は425枚、137段。大小の石の組み合わせによって描かれる幾何学模様が端正な美しさを生み出す。

Keywords:
石積み 棚田 ランドスケープ 幾何学模様

石は、田んぼを開墾する際に出たものが使われる。出てきた順に積み上げていくため、小さな石の上に大きな石が載ることもある。大き過ぎる石は火で炙って水をかけ、小さく割ってから使う。大きな石、小さな石が一見、無秩序に積み上げられたことで現れた幾何学模様は、日本を代表するランドスケープアートだ。こうした棚田が星野村には20か所以上ある。そしてこのランドスケープ作品群は、食料を得るための目的であるとともに、災害時の緩衝としての役割も担っているという。全ての棚田に当てはまることではないだろうが、土砂災害への防備として作られ始められた可能性があるらしいのだ。棚田をつくるために石を積んだのか、石を積むために棚田をつくったのか。生活のため、命のため、村人同士の繋がりのため。いずれにしても、営みから生まれた「用の美」棚田は星野村の人々にとってアイデンティティの象徴であるに違いない。

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