目の前のことを受け入れたからこそ、今がある。



高橋敬太郎さん、真子(なおこ)さん

敬太郎さんは文系、真子さんは美術系と、畑違いのところから農業の道へ。アスパラ栽培を始めたのは偶然だったが、今では「これが天職」と言えるまでになった。

 

 まるで土からそのまま出てきたような実直さ。アスパラ農家の高橋敬太郎さんの柔和な表情には、打算のない生き方が表れている。千葉県出身の敬太郎さんは、大学卒業後、駒ヶ根市の農業法人で2年の研修期間を経て、独立した。12年前のことだ。「大学時代は文系だったんですが、農業がやりたくて、飛び込んでみたんです」アスパラ農家として独立したが、特にアスパラがやりたかったわけではなかった。

「中川村は1日の気温差が大きく、甘みがのったおいしい野菜が育つ土地。たまたまここに体調を悪くされたアスパラ農家の方がいて、よく管理され、手の入った圃場をそのままやらせてもらうことになったんです。選んだというより、偶然ですね」

 このことは、さらなる幸運を呼び込んだ。育て方もわからず始めたアスパラ栽培だったが、やってみると自分の性に合っていたのだ。「手をかけた分だけアスパラが応えてくれて、少しづつ品質がよくなっていると思うんです。アスパラと対話するのがおもしろくて」
 楽しそうに話す敬太郎さんの言葉を、うなずきながら聞く妻の真子さん。二人は同じ研修先で出会い、結婚後は敬太郎さんをサポートしている。
「特別なことではなくて、毎日ちゃんと水をあげるとか、草をとるとか、そういうことなんです。主人は地道にコツコツやるのが得意なので、アスパラでよかったねって」

 今作っているのはアスパラと、秋冬にネギを少しだけ。一時期は雑穀やパプリカにも挑戦したが、主力のアスパラに手が回らなくなり、結局は今の形に落ち着いた。アスパラは成長が早く、1日10㎝も伸びることがあるので気が抜けない。4月から9月の最盛期は毎日収穫するそうだ。「私たちはこれがいいよ、と言われたことを普通にやっているだけ。たくさんは稼げないけど、生活は十分やっていけますよ」と真子さんは話す。

 11月から3月の農閑期には、敬太郎さんは村にある老舗の酒蔵「米澤酒造」で蔵人として働いている。「一年中遊ぶ暇はありません」と忙しくも楽しそうだ。その間、真子さんはネギを作ったり、アスパラの片付けや土作りをしたり。そんな時期があるおかげで、気持ちを切り替えることができ、春には新たな気持ちでアスパラと向き合えるという。

 3年前には土地を購入し、自宅を新築。今ではすっかり村の人だが、それは敬太郎さんが消防団で活動していたことも大きい。「村に来てすぐに消防団に入り、36才の定年まで11年間活動しました。訓練、飲み会、旅行と、なかなかハードでしたが、同年代のつながりができてよかったですね」それだけでなく、消防団活動は農業を生業とする上でも、大きな意味をもたらした。「土地を借りて農業をやってるので、信用を得ることが大切。消防団に入ったからこそ、胸を張ってここで農業ができてきました」

 目の前にあるものを素直に受け入れて歩んできたら、自分たちの大事なベースができていた。二人のしなやかなスタイルは、これからも変わらない。

Keywords:

Because we accepted things before our eyes, we are here now.

Keitaro & Naoko Takahashi

Keitaro and Naoko switched over to a career in agriculture from other field, humanities course and art course respectively.

   He is unassuming personality as if he came out of the ground. The non-calculating way of living is evident in his soft look of Keitaro Takahashi who is an asparagus farmer.

   “The temperature difference of the day is large and the land where sweet and delicious vegetables grow in Nakagawa-mura. I happened to be taught that there is good condition land and vacant houses here. We were in charge of the asparagus farmland where there is no farmer because a farmer fell sick although the yield was getting better. It was a coincidence rather than choosing it.”

   “We don’t do something special, but water the field everyday or pull up the weeds.  Because my husband is at good doing something steadily, I say that asparagus was suitable for you” During the agricultural off-season from November to March, Keitaro works as a steward in a well-established sake storehouse “Yonezawa Brewery” in the village.

   Three years ago they bought land and built their house. They are completely people of the village now, but it has great meaning that Keitaro was active in the fire company.

   “When I came to the village I immediately entered the fire company and acted for 11 years until I retired at the age of 36.  It was quite hard for training, drinking party, traveling, but I was glad that I could connect with people in the same age”

   Besides, the fire company activities also have great meaning in agriculture as occupation. “Because I borrow land and do agriculture, it is important to gain credit. As a result of entering the fire company, I came to be able to do agriculture with confidence here”

   While they accept what they have in front of them, their own precious bases have been made.  The supple style of them will remain unchanged in the future.

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中川村