上勝百貨店



空き地のような場所に倉庫のような平屋。看板には、大きく「上」の文字。今年1月にオープンした『上勝百貨店』は、倉庫を改装したほどよい無骨さのある気取らないオシャレなスペース。すべてが手作りの内装は、温もりのある〝田舎の商店〞というより、計算されたディスプレイが光る都会的な雰囲気。「ここは、『上勝が目指す姿』を表現したコンセプトショップなんです」と語るのは、創業者のひとり、小林篤司さん。「上勝は、『ゼロウェイスト宣言』を日本で一番最初に掲げた町としても知られています。34分別と聞くとみなさん驚かれると思いますが、僕自身も初めてこの町に来て町のみなさんが本当に回収場所でゴミを34分別している姿を見た時は、もちろん衝撃を受けました。同時に、これからは、そもそもゴミを出さない〝買い方〞ができるお店をつくればいいのではないか、それがこれからの上勝が目指す姿なのではないかって思ったんです」

Keywords:
ゴミを出さない売り方 ゼロウェイスト 上勝

上勝百貨店では、美しく陳列されたパスタや調味料、そして大きな業務用容器に入った洗剤やシャンプー類に至るまでを量り売りで買うことが出来る。「詰め替え用を買っても、その袋がゴミになってしまうなら、お店で詰め替えるのが一番効率良いですよね」そんな小さな気づきの集合体として、独特の形態で百貨店はオープン。独居も多い上勝町では、既製品よりも量り売りの方が経済的でもある。量り売りならば、おのずと売り場での会話やコミュニケーションも密になる。買った商品は、地元の老人ホームのおじいちゃんおばあちゃんがアクティビティとして作った新聞紙製のバッグに、という徹底ぶり。小林さんがエコだけでなく、見た目と雰囲気を作ることにこだわったのには理由があった。21歳という若さでIT関係の会社で起業し、コンサルティング業務等を通じてビジネスを仕掛けて来た小林さんは、まず上勝の人口分布の分析から始めた。ピークは80代、続いて60代。それ以降は緩やかに下降していた。「上勝の80代は本当に元気で、『いろどり』のような仕事もある。その子どもである60代も地元に戻って来ていますが、それ以下の世代は、もはや『地元だから』という理由だけでは仕事がない田舎には戻らない。だから、若者が惹かれるような魅力的な仕事を創出して、きちんとビジネスとして成り立たせることが必要だと思っていました」そして、分別もエコも、我慢して取り組むのではなく、楽しんで出来るような工夫や見せ方が重要だと言う。「『地域活性のために、具体的には何をしたらいいの?』。そんな若者たちに、自分で考えて活躍できるような場所を提供することも僕たちの役目かなって」

 

TEXT & PHOTO : YUKI KAKIHARA

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