さこんうえの蛙



あるものを使う、みんなに喜ばれる創作料理を考えることが楽しくてたまらない。農家民宿で人と人との交流がもたらす可能性は無限大。河津正純・慶子(熊本県南小国町)

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「さこんうえの蛙」は農家民宿の草分け的存在で、創意工夫に満ちた野菜料理が人気の宿だ。肉や魚を一切使わず、自家製や地産地消にこだわる。阿蘇の溶岩で作ったピザ窯や五右衛門風呂もあり、農村ならではの心豊かな時間が過ごせる。
農家民宿を始めた原点は、56歳の時に一人で挑んだ人生初の海外旅行だった。「パースに留学中の娘に会いたい」。慶子さんは募る想いを抑えきれず、渡豪を決意。現地で初めて農家民宿に泊まり、食事の質素さに驚いた。「これならば私にもできる」。勇気をもらって帰国した。家を改装して農家民宿を始める時、正純さんは慶子さんに言った。「農家の嫁だからあるもんでせろ」と。自らの手で作ったものに付加価値をつけて、お客さんに喜んでもらうことが大切だからだ。

「農家が生き残っていく柱のひとつとなる方法が農家民宿です。農作物を育てて売るのには限界があるけど、人の交流から生まれる可能性は無限大。良い都市があるためには、良い農村があるべきで、農家民宿を一番楽しんでいるのは家内だと思いますよ」と正純さんは語る。

南小国町が美しい村に認定されていることは歓迎だが、村の活性化にどうつながるのか。正純さんは考える。「美しい自然景観だけではなく、そこで暮らす人たちがいきいきと輝いていてこそ本当の美しい村だと思うんです」。慶子さんは時間があればヨーロッパなど海外を飛び回る。視野を広げることが自分の料理の刺激にもなるという。「ひとつの道を見つけたら、それに向かって努力することが大事よね。人生いろいろあったけど、やっぱりここが一番いい。

 

TEXT : MICHIKO TAKASAKI

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